紀伊半島南での黒潮(1)

 【基礎知識-001-3】

黒潮は紀伊半島まではほとんど陸岸に沿って流れて来ますが、紀伊半島の先端部(潮岬)を過ぎると陸岸から離れて流れるようになります。この部分での200m深の水温分布を図001-3に示しました。狭い範囲で水温が12℃から18℃に急激に変化しています。このように水温が急変する部分を温度前線(おんどぜんせん)と呼んでいて、温度前線には強い流れがともなっています。ここに示した温度前線こそが黒潮の正体なのです。

しばしば「黒潮が暖かい水を運んでくる」と表現されます。文学的にはそれでもよいのでしょうが、現実には黒潮は暖かい水も冷たい水も運んでいるのです。温度前線に沿って流れは生じているのですから、200m深の前線の陸側では12℃くらいのやや低温の水を、沖側では18℃くらいの暖かい水を運んでいるのです。


図001-3 200m深での水温分布(2013年10月29日)

このブログの人気の投稿

軽石の漂流シミュレーションをしてみました

黒潮の流速

津軽暖水渦