黒潮の蛇行パターン

【基礎知識-001-17】

黒潮は大陸棚や陸岸に沿って流れているのですが、紀伊半島周辺からは陸岸から離れ、曲がりくねりくねった流路(黒潮の蛇行)を取るようになります。この曲がりくねった流路にはいくつかのパターンがあることが知られています。海上保安庁は図001-20に示す様な流路パターンを提示しています。


図001-20 黒潮の蛇行パターン(海上保安庁HPによる)
 
ここで注意すべきことが2点あります。1つは蛇行には「大きな蛇行」と「普通の蛇行」の2通りがあると言うことです。学問的には「大蛇行」と「非大蛇行」と言うかた苦しい表現が使われています。黒潮蛇行の南端部分が北緯32度より南に下がるものを大蛇行と呼んでいます。2つ目はこれらのパターンが個別独立に存在している訳ではないということです。時とともに蛇行状態が変化して行く中で、特徴的なステージに名前が付けられているのです。A型とB型は蛇行がつくりだす冷水塊の位置が伊豆海嶺の西側にある場合で、C型は伊豆海嶺をまたいで冷水塊が存在する状態、D型は伊豆海嶺の東側に冷水塊が存在する状態です。N型は黒潮が蛇行せず、直進している状態です。多くの場合(A)→B→C→D→Nと言ったパターンの変化をします。逆の順序、D→C→B、での変化は老人の知る限りありません。2015年の7月末に発生した蛇行はやや小ぶりのA型からB→Cへと変化してきています。

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