黒潮大蛇行(その2)

 【T-004】
今年の8月初、黒潮の流路は大きく曲がりくねりだし、黒潮大蛇行の状態に入りました。8月の末には蛇行状態は緩やかになり、黒潮冷水塊の位置も東に移りました(図006T)。それから1ヶ月後の9月下旬には(図007T)に示す様な流路となっています(15℃の等温線が黒潮の流軸とよく一致する)。
8月下旬、黒潮の蛇行は緩やかになってきていますが、黒潮冷水塊は円形をしていて、確りした渦状態を保っていました。しかし、9月の末になると、黒潮冷水塊の中心部はばらけ、水温も上昇してしまっています。黒潮の大蛇行が終わりつつあるのかも知れません。

図006T  200m深水温分布(2015.08.26)


図007T 200m深水温分布(2015.09.27)

一つ注目すべき点は房総半島沖の黒潮流路です。8月末時点では黒潮が房総沿岸に極めて接近して流れていたのですが、9月末では大きく離岸した流路を取っています。この図で見る限り、大して離れていないと思われるかも知れませんが、実際には150km以上も離れているのです。こうした状態を「房総沖の口があく」などと言うことがあります。黒潮が離岸し、口があいた状態になると、ここを通って親潮系の冷たい水が関東・東海沿岸域に入り込んできます。房総沿岸の漁模様は黒潮の離接岸によって大きく変化しているはずです。

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